「昭和」という時代に国民が熱狂したレコード盤を追いかけていくと、今の日本人が 失くしてしまったさまざまなものが見えてくる。拓郎、キャロルからGS、ジョン・レノン、そして島倉、歌謡浪曲まで──。あの頃の僕たちには、愛すべき歌の世界があった!
『週刊ポスト』連載の歌謡エッセイでお馴染みの著者が贈る、昭和残響伝、第4集に して、シリーズ最終巻! 解説・泉麻人。
(本書「解説」より) 時代順に構成された歌謡曲史の本はよくあるけれど、本書のシリーズは一つの糸口から話が意外なジャンルへと転じていくのが妙味になっている。(中略)これは広く深く音楽を聴いていなくては書けない本だ。 (泉 麻人)
(以下、本書「目次」より) ●はじめに ●ビートルズとGS消滅の喪失感を忘れさせた、拓郎とキャロルの輝き ●永ちゃんのユニーク英語が生んだ、「キャロル」唱法の斬新さ ●驚愕の全曲英詞オリジナル、「走り去るロマン」の衝撃 ●元・英語教師ゆえの職人芸、遅咲き作詞家・井田誠一の功績 ●ゴールデン・カップスで味わう、ツインボーカルの極致 ●GSの「貴公子世界」を決定づけた、「青い目とハレルヤ」の刷り込み ●シンプルさで勝負する、鈴木邦彦メロディーの秘密 ●アクセント軽視と共に失われた、歌詞が内包するメロディー ●「ゴジラ、ゴジラ、ゴジラが来た、ゴジラ」──群集の叫びが聞こえますか ●昭和三〇年代を駆け抜けた、「乙女と怪獣」の接点 ●「からたち日記」──基礎から学ぶ、遠藤実の「変拍子」 ●遠藤実が教えてくれる、「はじめに言葉ありき」の大切さ ●ジョン・レノンが「変拍子」を愛した理由 ●先メロ、後メロ、問いません。こういう歌に私は嵌りたい ●「007」と「0011」のテーマソングを生み出した男たち ●歌謡曲と浪曲──畠山みどりに見る、その融合と惜別 ●三波春夫と村田英雄が追い続け、大衆が浪花節に求めていたもの ●「お山の杉の子」と「赤いリンゴ」を結んだもの ●我が家のファミリー・ヒストリーに顔をのぞかす、戦時歌謡詩人 ●物知り博士・堀内敬三、若き血の生命力 ●スペクタクル演出に勝る、渡辺はま子の「歌のちから」 ●『あなたのすべてを』聴き比べで再発見する、「歌の引力」と「声の魅力」 ●私が愛した、二人の歌姫(ディーバ)──ダーレン・ラブと須藤薫 ●あれからおよそ四〇年、私の望んだものは・・・・ ●昭和歌謡の大家・高橋掬太郎が貫いた「作詩家」としての矜持 ●さよならサヨナラ また来る日まで 涙をふいて さようなら ●あとがき 【解説】泉 麻人 【曲名索引】 【主な人名&事項索引】
堀井六郎(ほりい・ろくろう) 昭和27年(1952年)、東京都出身。慶應義塾大学文学部卒。25年以上にわたる出版社勤務を経て、現在はライター・編集者・経営者の三つの顔を持つ。大学在学中は軽音楽サークルに所属し、ベースと編曲を担当。作曲者としての代表作に『広小路慕情』がある。「昭和歌謡といつまでも」を『週刊ポスト』にて連載中。
【読者からのアンケートハガキ】
●田中修一さん(昭和26年生まれ、東京都) 当時の感情や匂いまでがまざまざとこみ上げてきて、懐かしさに泣きたくなりました。このシリーズはどんな小説よりも青春時代が呼び起こされ、ワクワク元気にしてくれる素敵な本でした。
●菊池雅人さん(昭和28年生まれ、仙台市) 時間・空間を自在に飛びながら歌謡曲を語るこのシリーズは、読むのが本当に楽しみでした。これで終わるのか! 残念です。でも、『週刊ポスト』の連載は続くでしょうから、そちらを楽しみにしています。第2集の中に、ジュリーの鼻濁音の話がありましたが、これにはヒザを打ちました!